メラトニンに副作用がない…はウソ!
巷では「メラトニンは副作用がないから安心!」などと謳っていることがよくありますが、そんなことはありません。
もちろん睡眠誘発剤や、睡眠サプリとして使われるセロトニンに比べれば副作用が少ないです。またメラトニンが1958年に発見されてから50年以上経つまでにさまざまな実験が行われてきましたが、大きな副作用がなかったのは確かです。
しかし、やはりメラトニンを過剰摂取すると色々な副作用が見られます。
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「メラトニンには副作用がない」のワケ
実際にメラトニンが原因と思われる問題が起こっていて、なぜ「メラトニンには副作用がない」と言い切る方がいるのでしょうか?
そんな彼らは決して血迷っているわけではなく、彼らにも彼らなりの根拠があります。「メラトニンによって副作用が出なかった」という結果が出た実験がいくつかあるからです。
791人が2mgのメラトニンを半年間摂取したが、副作用はなかった。
一度に500mgのメラトニンを一気に摂取したが問題はなかった。
44人の子供が5mgのメラトニンを3.8年飲んだが、副作用はなかった。
睡眠のためのメラトニン推奨摂取量は1~10mgなので、それよりかなり多くの量を摂取しているのですが問題がなかったそうです。
このようなデータがあるために「メラトニンには副作用がない」と言っているわけです。
しかし、これらは飽くまで臨床実験の一例にすぎません。環境、被験者が変われば結果が変わるかもしれません。またメラトニンによる副作用が発症したケースが間違いだと否定できていません。
ですから「メラトニンには副作用がない」と言い切るにはまだ早く、日本の厚生労働省もメラトニンサプリメントの製造を禁止しています。
また日本で一番流行ったメラトニンサプリは、NowFoodsのメラトニンですが、その製品について次のように述べています。
下記製品は現在のところ、国内において健康被害は報告されておりませんが、医薬品成分が検出されており、健康被害の発生するおそれが否定できないと考えられます。
(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/other/080611-1.html より)
ただ、メラトニンにより大きなトラブルが起きたのは、「過剰摂取した場合」です。ですから1~10mg程度ならば、今のところ安全である可能性が高いです。
[titled_box color=”white” title=”メラトニンとは?”]メラトニンは脳の「松果体(しょうかたい)」というところから分泌される睡眠ホルモンです。私たちに自然な眠気を促したり、老化を遅らせたり、ほかの有益なホルモン分泌を誘発してくれます。メラトニンを分泌させるには、朝日を浴びるのが効果的です。[/titled_box]
メラトニンの副作用
それでは、メラトニンの副作用はどのようなものでしょうか。
1.メラトニンを生成する機能が衰える可能性がある。
メラトニンは睡眠ホルモンですが、そもそもホルモンって何でしょうか?
ホルモンが伝える情報は生体中の機能を発現させ、ホメオスタシスを維持するなど、生物の正常な状態を支え、都合よい状態にする重要な役割を果たす。ただし、ホルモンの作用については未だわかっていない事が多い。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ホルモン より引用
これによると、ホルモンの目的は生体を健康な状態に調節することだと言えます。「調節」という言葉が重要です。
私たちの身体が10のメラトニンを必要としているため、ホルモンが10のメラトニンを生成してくれているとしましょう。このとき、サプリメントから5のメラトニンを摂取しました。
このときに、体内ではメラトニンが10+5で15とはなりません。5のメラトニンを外部から摂ったのならば、残りの5のホルモンだけが生成されます。
ホルモンの目的は飽くまで調節なので、メラトニンは必要な分しか作られません。
実際にカルシトニンというホルモンがあり、これで血中カルシウム濃度を調整しています。この濃度を高いままにしておくと、嘔吐、便秘、衰弱などの原因となるため、カルシトニンが適度に分泌されて血中カルシウム濃度が下がるようになっています。
使わないと衰える
ホルモン分泌は筋肉と同じように使われないとどんどん衰えていきます。(逆に毎日使っていると身体が覚えこみ、分泌されやすくなります。)人間の身体は基本的に、使うところはどんどん強化され、使わないところは退化していきます。
そのため連日メラトニンを外部から摂取していると、体内でメラトニンをうまく生成できなくなる恐れがあります。
これはホルモンの一般的な法則に乗っ取ったもので、メラトニンにおいて確実なデータがあるわけではありません。メラトニンはまだよくわかっていないホルモンなのです。
しかし、厚生労働省が「危険がないとは断定できない」といって販売を禁止しているので、私自身は今のところ敬遠しています。
2.メラトニンのメリットが得られなくなる
「1.メラトニンを生成する機能が衰える可能性がある。」に陥ると、メラトニンによる様々なメリットが得られなくなります。
メラトニンによるメリットはこれらです。
- 睡眠の誘発
- 免疫力の向上
- 老化の防止
- ぼけ防止
- 細胞の新陳代謝、お肌のターンオーバーの促進
- ホルモンバランスを整える
- 体内リズムを整える
- (乳がんを抑える)・・・まだ確証は得られてませんが、夜勤の方に乳がん患者が多いため、メラトニンが乳がんの防止に繋がるのではという有力な説があります。
メラトニンの効果についてより詳しい情報は次の記事を参考にしてください。
⇒メラトニンの効果!寝不足以外にも役立ちます
ストレスがあるわけでもなく、夜更かしをして遊んでいるわけでもなく、毎日寝不足になってしまうのです。眠気と戦うつらい毎日を過ごすことになるでしょう。
3.ホルモンバランスが崩れる
過剰摂取した場合、メラトニン濃度を調整しきれなくなり、バランスが狂います。
メラトニンには他のホルモンを誘発する機能がありますから、たとえば成長ホルモンの分泌が減りすぎて、細胞の新陳代謝や、けがの修復が上手くいかなくなります。
極度の眠気で通常の日常生活が行えなくなることもあります。
4.悪夢を見る
メラトニンには、精神の安定を促すセロトニンを生成させる力があります。
ですからメラトニンの生成能力が衰えると、精神が不安定になる悪夢を見やすくなる恐れがあります。またうつ病を引き起こすケースもあります。
またセロトニンが不足すると、次のようなトラブルも発症します。
- めまい
- 悪夢
- 性欲の減退
- 倦怠感
- 鬱病
5.時差ボケに対応できなくなる。
時差ぼけを解消したい場合には朝日を浴びて体内時計をリセットする対策が一般的ですよね。
これは朝日を浴びてから14~16時間あとにメラトニンが分泌されやすくなるという性質を利用した方法なのですが、そもそもメラトニンが上手く生成されないのであれば、夜になっても眠気はやってきません。
時差のある国への旅行が苦痛に感じるようになるでしょう。
メラトニンの過剰摂取になりがちな原因
メラトニンは脳の興奮による不眠にはあまり効果がありません。脳を興奮させてしまう要因には、
- ストレス
- 不安・不快感・怒り・鬱
- カフェインによる覚醒
- 運動による覚醒
これらの要因による眠れない場合、メラトニンを摂ったとしても眠りにつくことは難しいです。にもかかわらず「量が足りない」と勘違いして過剰摂取してしまうケースが多々あります。
メラトニンをサプリから摂る場合には、利用法を守って使いましょう。
[titled_box color=”white” title=”とはいえ睡眠導入剤よりは良い”]メラトニンの副作用ばかりお伝えしてきたので少し警戒してしまっているかもしれませんね。しかし、メラトニンの副作用は、睡眠導入剤のそれに比べればかわいいものです。睡眠導入剤は依存性があるため使えば使うほど離れられなくなります。それでいて肝臓に過剰な負担をかけたり、脱力感がしたり、精神が不安定になるのです。一度使うだけでハマってしまう人が多いため、おススメできません。[/titled_box]
メラトニンのサプリの効果には個人差が!
メラトニンサプリには、効果に個人差があります。ですから同じ量を使ったとしても、効果がある人もいれば足りない人もおり、大量に使用して副作用が出る人がいれば、出ない人もいます。
自分の身体に合っているのか?無駄に多く飲んでいないか?を考え、慎重に調節していくのが良いでしょう。
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